臨床工学科
臨床工学技士とは、医師の指示の下に血液浄化装置、人工心肺装置、人工呼吸器等の生命維持管理装置と呼ばれる高度で複雑化した専門性の高い医療機器の操作及び保守管理を担う、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。当院では2020年4月に臨床工学科が設立され、現在4名の臨床工学技士が所属し、医療の一端を担うべく様々な業務を遂行することはもちろん、透析や医療機器等の専門資格や研修を取得・受講し、院内の委員会にも参加することで質の高い医療の提供を目指しています。
臨床工学技士は医療機器の進歩に伴い、医学的、工学的な知識を持つ専門職が必要となったためにつくられた医療職では比較的新しい職種であり、1987年の臨床工学技士法制定により誕生しました。臨床工学技士になるには3年制の臨床工学技士養成専門学校、または4年制大学を卒業することにより、臨床工学技士国家試験の受験資格が得られ、国家試験に合格して厚生労働省から免許が与えられます。臨床工学技士の活躍の場は、病院やクリニックのみに限らず医療機器メーカーや販売店等にも及び、現在45,000人以上の臨床工学技士が全国で活躍しています。
【有資格】(2022年6月現在) |
【所属委員会】(2022年6月現在) |
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・認定血液浄化臨床工学技士 ・透析技術認定士 ・3学会合同呼吸療法認定士 ・臨床ME専門認定士 ・第1種ME技術者 ・第2種ME技術者 ・医療機器情報コミュニーケータ ・透析技能検定2級 ・高気圧酸素装置操作技師 ・医療情報技師 ・認定ホスピタルエンジニア(CHE) ・医療機器安全管理責任者研修修了 ・透析液安全管理責任者研修修了 ・医療ガス安全管理者講習修了 ・臨床実習指導者研修修了 |
・医療機器安全管理委員会 ・透析機器安全管理委員会 ・医療ガス安全管理委員会 ・医療機器選定委員会 ・診療材料検討委員会 ・富士市防災委員会 ・医療安全管理委員会 ・電子カルテシステム委員会 ・静岡県移植コーディネーター ・褥瘡対策委員会 ・排尿ケア委員会 |
血液浄化センター業務
内視鏡センター業務
医療機器管理
臨床工学では、安全・安心な医療機器の提供を担うため、輸液ポンプ、シリンジポンプ、人工呼吸器等の中央管理による貸出・返却はもちろん、点検・修理・トラブルなどに対応しています。医療機器管理業務に併せて、人工呼吸装置の点検や院内ラウンド等の臨床技術業務も担当し、その機能を維持しています。
必要に応じて、CPAP療法を行う睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者様に対し、CPAP装置の使用説明を実施しています。医療機器の安全向上とスキルアップを目的に、院内向けの各種医療機器勉強会も開催し、医療機器安全管理責任者も臨床工学技士が務めています。
ペースメーカー業務
心臓ペースメーカーや両室ペーシング用ペースメーカーなどの植え込み術にも対応しています。臨床工学技士は、定期的にペーシングアナライザーやプログラマーを使用し、ペースメーカーが適切に動作していることを確認することはもちろん、最適な設定を行えるよう努めています。
手術室業務
当院の手術室業務では、主に眼科の白内障手術、泌尿器科領域の内視鏡手術装置の操作、麻酔器やモニターの保守点検を担っています。必要に応じて透析に必要なシャントを形成する手術にも対応しています。
心臓カテーテル業務
2020年5月より心臓カテーテル検査を開始しました。臨床工学は検査時の介助や検査に必要な医療機器の操作を担っています。心臓カテーテル検査は多くの医療機器で測定した画像などからの検査結果を元に治療条件等が決定されるため、臨床工学技士の業務は非常に重要となります。当院臨床工学科は検査の介助と医療機器の操作という非常に重要な業務を担っています。
シャントエコー・PTA業務
当院では、エコーを使用して透析の命綱であるシャントの管理を実施しています。シャントを長期間使用するためには、閉塞や狭窄の早期発見と治療が有効なため、シャントに何らかのトラブルがあった場合には、臨床工学技士がエコーを使用してトラブルの原因を特定し医師へ報告しています。
2022年度よりシャントPTAという血管の拡張治療が可能となり、シャントのトラブルにも対応ができるようになりました。シャントPTAは、局所の麻酔で短時間に治療可能で、シャントの作り直しに比べ負担が少ない治療法でシャントの長期間開存が見込めます。